日本酒の日が近づくにつれ、不意に何かが僕の耳元で囁きかけてくる。
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日本酒の日が近づくにつれ、不意に何かが僕の耳元で囁きかけてくる。
それはまるで『深く冷たい海の底から響く、真っ黒でトゲトゲした奇妙な声』のようだった。
僕はその声に心あたりがあった。僕を呼んでいる声の主は故郷栗山町の実家、その床下で眠るアイツしかいなかった。
僕はコロナ 禍の初期である昨年2月、今こそ免疫力を高める発酵食の力を世間に知ってもらうチャンスと考えていた。
それで僕は40年ぶりに小林家に伝わる、この幻の発酵食を1年かけて復元させた。
そして今年初め。僕はアイツ(山うに)を漬けもの桶で4本仕込んでおいたのだ。
彼は冷たく黒くトゲトゲしい声で『ウニの声帯模写は非常に難しかった』と僕に言った。
『黒いトゲトゲしい声。。ウニだけに。。。』 僕は彼の桶を強く抱きしめながら10月1日、日本酒の日に『山うに』の発売(予定)を心に決めたのであった。
北海道新聞2021年2月6日の新聞に紹介新聞のリンク
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