『お弁当に入った魚の天ぷらやフライが、あらかた煮魚にとって代わる時代が到来しないだろうか?』
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『お弁当に入った魚の天ぷらやフライが、あらかた煮魚にとって代わる時代が到来しないだろうか?』
胃を失って以来、食事によってその日の体調が著しく左右されるようになった僕は、益々深くこの問題を考えるようになった。
数時間経ってしまった天ぷらやフライの『もっちりと重量感ある衣』も悪くはない。
しかし、その為に魚のフィギュア(醤油差し)が必要になり、お魚の赤い口キャップをひねる度に指がベトベトするのだ。
その点、煮魚のお弁当はいい。魚の煮汁がご飯にもれ滲んで、さらに美味しくなるし魚の醤油さしも不要になる。
とかく環境悪な物質や情報が漏れすぎる現代社会。
【漏れていいのは魚の煮汁と人の本音】とはそれをよく言い表している(自画自賛の)格言だ。
そしてここ!両国にある『下総屋食堂』は、予め煮付けたり、焼いたりしたお魚を客がすぐに選び取り出せる粋な昭和食堂。
煮魚なら安心な僕は、今日も惣菜の上段から『鯖の味噌煮』を取り出すのであった。
そして僕のもう一つの気がかり。
それは『下総屋』の文字看板が外れてクルッと半回転してしまい、どちらかというと店名が『上総屋』になってしまった事だ。
創業は昭和7年。いついつまでも続いて欲しい食堂なのであった。