それは50日前の事であった。

それは50日前の事であった。 僕はアルバイト先、それに陽当たりの良い安めのアパートを探して江戸情緒の残る駅を一つずつ歩いていた。 手始めに人形町で下車してみた日の事だ。 差しあたって僕の希望は（人形焼ではなく）以下の様なものだった。 #人形町

①スカイツリーから遠くない事。 ②江戸風情が残る場所である事。 ③日本発酵文化に触れられる事。 その途中、ふと『ほうじ茶専門店』に立ち寄ってみた。 このお店は大正3年から、茶葉を毎日、自家焙煎して販売しているという。 #ほうじ茶専門店

店内は、ほぼ『ほうじ茶』で占められている。極上が1,290円　特上が840円　そして並が430円 きっと僕はこの身体にやさしい『並ほうじ茶』を水筒に詰めて、バイト先に向かうような気がする。 妙に雰囲気のある蕎麦店でそんな想像をするひとときは、気分も盛り上がってくる。

最後に水天宮で、魔除けと商売繁盛の御利益がある『河童面（かっぱめん）』をお土産にして帰宅した。 僕は意地でも求人アプリに登録してネットで情報を引き出すような職探しはしないと決めていた。 しかし、どう見ても毎日やってる事がネットのおすすめ観光プランである事は否めないのであった。